2012年九州旅行記(6) ゆふいん 月燈庵

僕の誕生日は十月。彼氏の誕生日は一月。
誕生日はお互いにお祝いすることにしている。2011年の十月は、彼氏のご招待でシェラトン台北の辰園で宮廷料理をごちそうになった。今回はせっかく湯布院があるのだから……温泉好きの彼氏にプレゼントで、新御三家の一つ、月燈庵に宿泊することにした。全室個室露天風呂つき離れでゆったりと寛ぐのもよいかと思って。

クルマを乗り付けると、早速フロントスタッフがふたり駆け寄ってくる。古い民家のようなフロント(母屋)でチェックインを済ますと、吊り橋を渡って今夜宿泊する離れに向かう。僕らの荷物を持った仲居が前後にふたり引き連れて。部屋に通され、お茶の接待の準備が進められているときにハタと気づいた。「やべぇ、心づけ用意しないと!」こういう時に、自分の両親が背中を思い出す。

こたつでぬくぬく暖まり、ひと休みした後、再び母屋へ。ホットワインを飲みながらのんびりと寛ぐ。バーテンダーの手元を見ていて、使っている赤ワインはうちの普段使いのものと同じだな、と気づいた。

部屋に戻り、露天風呂を利用する。外気はとても冷たかったけれど、湯船に浸かればぬくぬく。ふたりが足を伸ばして使っていてちょうど良い広さ。髪と身体を洗うときだけは手早く、身体にお湯を当てながら忙しかったけれど。彼氏は博多のお湯が肌に合わなかったとこぼしていたが、湯布院のやわらかい泉質は気に入ってくれたようだ。確かに肌へのあたりは心地良い。

晩ご飯はしゃぶしゃぶのコースで。料理長手作りの炙り唐墨は秀逸。しゃぶしゃぶ肉は「うーん、これってホカ弁だったら牛焼き肉弁当とかで売っちゃうだろう」という厚みだった。周囲は老若男女ふたり連ればかり。その中で男ふたりの組みあわせは珍しいのかもしれない。仲居が「まだお若いのに……」というので、「あー、僕ら43歳です」とあかすとちょっとのけぞっている。確かに彼氏は20代後半に見えるけどさ。

ご飯を食べ終えて、談話室でコーヒーを飲む。暖炉に薪をくべに来たスタッフとしばらく世間話をする。離れに戻ると、布団が用意されていた。

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